英文経理を始めるならどのレベル?実務で最低限必要な知識と勉強法を紹介
「経理の経験はあるけれど、英語を使うとなると急にハードルが高く感じてしまう」と悩んでいませんか。専門用語が難しそう、帰国子女じゃないと無理かも、と諦めるのはもったいないです。
実は英文経理で求められるのは、ペラペラの英会話ではなく「決まった会計用語を正しく使いこなす力」です。
この記事では、未経験から外資系の経理職へ一歩踏み出せるよう、身につけるべき知識と効率的な勉強の仕方をわかりやすく紹介します。
英文経理を始めるなら知っておきたい合格ラインのレベル
英文経理の世界に飛び込むとき、最初に気になるのが自分の立ち位置ですよね。外資系企業の採用担当者は、あなたの「会計の土台」と「読み書きの英語力」をセットで見ています。どちらか一方が飛び抜けている必要はなく、仕事を進めるための最低限のバランスが取れていることが採用の決め手になります。まずは、現場で「この人なら任せられる」と判断される具体的なラインを把握しておきましょう。
日商簿記2級レベルの基礎は絶対に欠かせない
英文経理といっても、数字を扱う基本のルールは日本の会計と大きく変わりません。そのため、まずは日本の「日商簿記2級」程度の知識を持っていることが、多くの企業で採用の最低条件になります。
借方や貸方の仕組み、決算整理のやり方など、簿記の基礎が頭に入っていれば、あとはそれを英語の名前に置き換えるだけです。逆に言えば、日本語で簿記が理解できていない状態で英語の会計を学ぼうとすると、混乱して挫折する原因になります。まずは日本語でしっかりと会計の理屈を固めておくことが、遠回りに見えて一番の近道です。
- 複雑な連結会計の仕組みを理解している
- 工業簿記などの原価計算の基礎がわかっている
- 日本語での財務諸表が自力で読める
TOEIC700点を目安にする英語力の壁
外資系企業の求人票を見ると、英語力の目安としてTOEIC700点前後を掲げている会社が多くあります。これは、英語で届くメールの内容を正しく理解し、マニュアルを読みながら会計ソフトを操作できるレベルを求めているためです。
流暢なスピーキング力は、最初から求められることは稀です。まずは、画面上の英語を落ち着いて読み解き、決まった形式でメールを返せる「読み書き」の力を磨きましょう。 スコアが700点に届いていなくても、会計の専門用語さえ知っていれば、仕事自体は意外とスムーズに進められるものです。
- 英語のメールに対して、定型文を使って返信ができる
- 英文の会計マニュアルを辞書を引きながら理解できる
- 会計ソフトのメニュー(Post、Settleなど)の意味がわかる
パソコン操作とExcel関数の使いこなし
英文経理の現場では、SAPやOracleといった世界共通の会計ソフト(ERP)を使うことがほとんどです。これらのソフトを使いこなす以前に、データを整理するためのExcelスキルは、英語力以上に重要視されることがあります。
特にVLOOKUP関数やピボットテーブルは、毎日の業務で魔法のように使い倒します。大量の数字の中からエラーを見つけたり、海外本社へ送るレポートを素早くまとめたりするために、Excelは必須の道具です。 関数を使いこなせるだけで、作業時間は半分以下になり、ミスも劇的に減らすことができます。
- VLOOKUP関数で複数のデータを紐付けられる
- ピボットテーブルを使って一瞬で集計ができる
- ショートカットキーを駆使して作業スピードを上げられる
実務で最低限必要な知識を身につけるためのステップ
レベルがわかったところで、次は「具体的に何を学べばいいのか」を整理しましょう。英文経理は、日本の経理とは少し違うリズムやルールで動いています。例えば、世界中で使われている「IFRS(国際財務報告基準)」というルールの存在や、海外本社へのスピーディーな報告作業などがそれにあたります。これらを知っているだけで、面接でのアピール力もグッと高まります。
世界基準のルールであるIFRSと米国会計基準
日本の会社では日本のルール(J-GAAP)で計算しますが、外資系企業ではIFRSや米国会計基準(US GAAP)という世界共通のルールに従います。これらのルールは「投資家にとってわかりやすい数字を出すこと」を重視しており、日本のやり方とは細かい部分で違いがあります。
例えば、のれん代の償却方法や、収益を認識するタイミングなどが異なります。最初は難しく感じるかもしれませんが、マイケル・ペイジなどのエージェントが扱う求人の多くは、これらの知識を少しずつ現場で学んでいける環境が整っています。まずは「日本とはルールが違うんだ」と意識することから始めれば大丈夫です。
- 世界140カ国以上で使われているIFRSの基本を知る
- 米国に本社がある企業で使われる米国会計基準に触れる
- 日本の会計ルールとの大きな違いを数点だけ押さえておく
月末から月初にかけての決算業務の進め方
英文経理の最大の特徴は、決算のスピード感です。多くの外資系企業では「Monthly Closing(月次決算)」を非常に重視しており、月初3営業日から5営業日以内に全ての報告を終わらせる必要があります。
これを乗り切るためには、毎日コツコツと仕訳を入力し、月初に慌てない仕組みを作っておくことが大切です。 日本の会社よりも締め切りが早いため、段取り良く仕事を進める能力が磨かれます。このスピード感に慣れると、どの会社へ行っても通用するプロの経理としての自信がつきます。
- 月初3〜5日の「締め切り」に合わせたスケジュール管理
- 毎日発生する取引をため込まずに処理する習慣
- 本社への報告パッケージ(レポート)を素早く作る準備
海外の本社へ送るレポート作成の基本
日本の経理が税務署や銀行向けの書類を作るのに対し、英文経理は「海外本社のマネージャー」に向けた報告書を作ることが主な役割です。これを「Reporting Package」と呼び、決まったフォーマットに数字を流し込んで作成します。
レポートには数字だけでなく、なぜ先月より利益が減ったのかといった「理由」を英語で一言添えることもあります。難しい文章を書く必要はなく、数字の動きを客観的に伝えるフレーズをいくつか覚えておけば、本社の担当者とも円滑にコミュニケーションが取れます。
- 決まった形式の報告用Excelファイルを使いこなす
- 予算と実績の差が出た理由を英語で短く説明する
- 海外担当者からの「この数字は何?」という質問に答える
英語と会計を効率よく伸ばすおすすめの勉強法
「勉強しなきゃ」と思っても、分厚い教科書を目の前にすると気が遠くなりますよね。英文経理の勉強は、会計と英語をバラバラに学ぶよりも、セットで学んでしまうほうが効率的です。実際に仕事で使う場面をイメージしながら、毎日少しずつ「英語の脳」と「会計の脳」を同期させていきましょう。忙しい社会人でも無理なく続けられる、実践的なトレーニング方法を紹介します。
仕訳を英語で覚えるための単語帳の使い方
まずは、普段の仕訳を英語で言ってみることから始めましょう。「売掛金を回収した」なら「Collected accounts receivable」といった具合です。これを単語帳アプリやメモ帳にまとめて、隙間時間に眺めるのが効果的です。
特に勘定科目の名前は、パッと見て意味がわかるまで繰り返し見ることが大切です。 英文経理の現場では「Accounts Payable」という文字を見た瞬間に、脳内で「買掛金だ」と翻訳せずに理解できる状態が理想です。まずは頻出する50語程度を完璧にするだけで、メールの読み書きが驚くほど楽になります。
- 勘定科目の英語名をセットで暗記する
- 仕訳のパターンを英文で書き出してみる
- スマホのアプリを使って、通勤中に単語テストを行う
専門学校の講座やオンラインレッスンの活用
独学が不安なら、専門学校が提供している「英文経理講座」を受けるのも手です。例えば、タック(TAC)やアビタス(Abitus)といったスクールでは、未経験者向けの入門コースが充実しています。
プロの講師から教わることで、独学では気づかない「現場での使われ方」を学べるのがメリットです。また、オンライン英会話で「会計分野」に強い講師を選び、英語で決算の説明をする練習をするのもおすすめです。アウトプットの場を作ることで、知識がより深く定着します。
- 英文簿記の入門講座で基礎を固める
- 会計用語に特化したオンラインレッスンを受ける
- スクールが提供する合格のためのノウハウを活用する
洋書や海外のニュースサイトで専門用語に触れる
ある程度基礎ができたら、海外の経済ニュースや会計関連のサイトを覗いてみましょう。例えば「Wall Street Journal」のビジネス面などを読むと、実務で使われる生のフレーズがたくさん出てきます。
最初は一行読むのも大変かもしれませんが、知っている単語を見つけるだけで自信に繋がります。本物の生きた英語に触れることで、教科書通りの表現ではない、相手に伝わりやすい自然な言い回しが身につきます。 これを繰り返すうちに、海外本社からのメールも怖くなくなります。
- 海外のニュースで決算発表の記事を読んでみる
- Amazonなどで初心者向けの英語の会計本を買ってみる
- YouTubeで海外の会計ソフトの操作解説動画を見る
持っていると評価が変わる有利な資格とスコアの目安
資格は、あなたの実力を客観的に証明してくれる強力な武器です。特に外資系企業への転職では、資格があるだけで「この人は一定の知識がある」と信頼され、書類選考の通過率が跳ね上がります。英文経理のキャリアを歩む上で、持っておくと年収アップや昇進に直結する、価値の高い資格を紹介します。
英語での会計知識を証明するBATICのスコア
BATIC(国際会計検定)は、東京商工会議所が実施している試験で、英語での会計処理能力を測るのに最適です。合否ではなく400点満点のスコア制なので、今の自分の実力を正確に知ることができます。
まずは320点以上の「アカウンタントレベル」を目指すと、外資系企業の求人で有利に働きます。 この試験の勉強を通じて、英文経理で頻出する英単語や、IFRS(国際財務報告基準)の考え方をバランス良く学ぶことができます。日本の簿記2級を持っている人なら、比較的スムーズにスコアを伸ばせるはずです。
| 項目 | BATIC(国際会計検定)の詳細 |
| 試験形式 | IBT(自宅などのパソコンで受験) |
| 配点 | 400点満点のスコア制 |
| 内容 | 英文簿記、IFRS(国際財務報告基準)の基礎 |
| 評価の目安 | 320点以上で高い専門性があると見なされる |
| メリット | 英語と会計の両方のスキルを一度に証明できる |
BATICは、USCPA(米国公認会計士)に挑戦する前のステップアップとしても非常に優秀な試験です。
将来的に大きな武器になる米国公認会計士
英文経理のキャリアにおいて、最高峰の資格と言えるのがUSCPA(米国公認会計士)です。これを持っているだけで、世界中の外資系企業からスカウトが届くようになり、年収1,000万円を超えるチャンスも現実味を帯びてきます。
試験は全て英語で、会計だけでなく法律やIT、監査など幅広い知識が問われます。全科目に合格するのは時間がかかりますが、1科目だけでも合格していれば、転職活動での評価は劇的に上がります。 本気でグローバルなキャリアを築きたいなら、いつかは挑戦したい憧れの資格です。
- 全科目合格すれば、世界中で会計のプロとして認められる
- 1科目合格の段階でも、学習意欲が高いと評価される
- 年収の大幅アップや、海外法人への転勤も狙える
自分の実力を客観的に示すためのアピール方法
資格そのものも大切ですが、面接では「その資格をどう実務に活かせるか」を伝える準備をしておきましょう。例えば「BATICで学んだ知識を活かして、英文の貸借対照表を読み解くことができます」と具体的に話すのです。
単に「資格を持っています」と言うよりも、具体的な業務と結びつけることで、採用担当者はあなたが働く姿をイメージしやすくなります。資格をゴールにするのではなく、理想の仕事を手に入れるための「通行証」として賢く活用しましょう。
- 資格取得の過程で苦労したことや工夫したことを話す
- 実務で遭遇した問題と、資格の知識を絡めて説明する
- 今後どのように専門性を高めていきたいか、意欲を見せる
まとめ:英文経理は簿記2級とTOEIC700点から始められる
英文経理の世界は、一見すると難攻不落の城のように見えますが、実は正しいステップを踏めば誰にでも門戸が開かれています。大切なのは「英語」と「会計」の土台をバランス良く固め、実務で使われるキーワードを一つずつ自分のものにしていくことです。未経験からでも、アシスタントの求人から始めて経験を積めば、数年後にはグローバルに活躍する会計のプロへと成長できます。
- 日本の簿記2級の知識を固めることが、英文経理の土台になる。
- 英語力はTOEIC700点程度、まずは「読み書き」ができれば十分。
- Excelスキル、特にVLOOKUPやピボットテーブルは英語以上に重要。
- 月次決算のスピーディーな流れに慣れることが、外資系で働くコツ。
- BATICなどの資格を目標にすることで、効率よく専門用語が身につく。
- 未経験ならアシスタント職から入り、現場でIFRSなどのルールを学ぶ。
- 英文レジュメやLinkedInを整えて、企業からのスカウトを待つ準備をする。
あなたの新しい挑戦を応援しています。英語で数字を操れるようになれば、あなたの活躍の場は日本を飛び出し、世界中に広がっていきますよ。
